フリーエリア

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 、リハビリテーションに関わる全ての人へ

お取り寄せ


カテゴリー


最近の記事


最近のコメント


最近のトラックバック


月別アーカイブ


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
リハビリテーションニュースより抜粋しました

①(2008年6月20日 読売新聞より)
 滋賀県東近江市の病院で2004年11月、入院中の女性(当時71歳)がリクライニングベッドの転落防止用の柵の間に首を挟まれ死亡した事故で、滋賀県警は、担当の男性理学療法士が注意義務を怠ったとして、業務上過失致死の疑いで書類送検する方針を固めた。同県竜王町小口、無職礒田輝子さんは同年9月、脳梗塞などで蒲生町国民健康保険蒲生町病院(現・東近江市立蒲生病院)に入院し、左半身にマヒがあった。捜査関係者らによると、同11月2日午後4時45分ごろ、理学療法士が個室で礒田さんにリハビリ指導後、傾けたベッドに座らせたまま病室を離れた。            約1時間10分後、礒田さんが、ベッド脇にある柵(高さ約25センチ)のすき間に首を挟まれ、意識不明になっているのを准看護師が発見したが、翌日、死亡した。県警は、礒田さんが傾斜のあるベッド上で体が傾いたはずみで、柵のすき間に挟まった可能性があるとみており、理学療法士が病室を出る前にベッドを平らにするなどの注意義務を怠ったことが事故につながった、と判断した。遺族は05年12月、町(現・東近江市)に計2800万円の損害賠償を求める訴訟を大津地裁に起こし、現在係争中。


②リハビリは医療ではないのか?回復見込みのある人も月4時間までって……弘中 健一(2008-04-08 11:30)  http://www.ohmynews.co.jp/news/20080327/22647
 一体「医療」とは何だろう。このことを、私はこれまで突き詰めて考えたことが無かった。
 しかし最近3年間のリハビリテーション(以下リハビリと言う)に関する厚生行政の動向を見ると、「リハビリは医療ではない」と思わざるを得ない。簡単に経緯をまとめると、次のようになる(概要のみで細部の除外規定などは省略)。
 (1)2年前(2006年3月末)までは、リハビリに関し特に制限は無く、健康保険でリハビリを受けられた。費用は一般的な医療と同じで原則3割が自己負担である。
 (2)2年前の4月1日以降、診療報酬の改定で、リハビリに関して「疾患別日数制限」が設定された。いろいろな病気を4種類に大別し、「心大血管疾患リハビリは150日」、「呼吸器リハビリは90日」、「運動器リハビリは150日」、「脳血管疾患等リハビリは180日」と設定された。いずれも発症時を起点にした上限日数だ。
 この日数制限に対しては当時、多くの悲鳴が上がった。まだ回復途中なのに、日数制限でリハビリを打ち切られてしまう悲惨さはテレビなどでも大きく取り上げられ、「リハビリ難民」などという言葉が生まれた。日数制限に反対する48万人もの署名が厚労省に提出された。
 (3)反対の声を受けてか、昨(07)年4月1日から日数制限が一部緩和され、医師の判断で「効果があると認められる場合には制限日数を超えて継続」することが可能となった。だがその一方で、介護保険でリハビリを受ける者は、健康保険(つまり医療)のリハビリが受けられなくなった。
 (4)そして再び診療報酬改定が行われたこの4月1日からは、医師が「継続すれば効果があると判断した場合でも、上限日数を超えた場合は、1カ月に最大13単位(約4時間)まで」と制限されることになった。
アテネ五輪の前に脳梗塞で倒れた巨人の長嶋茂雄終身名誉監督の姿を、最近TVで見た方も多いと思う。長嶋氏が脳梗塞で倒れたのは2004年3月で、あそこまで回復するまでには約4年を要している。元プロスポーツ選手という強靭な身体、恵まれた治療環境、超人的な頑張りによっても、あそこまで回復するのに4年を要しているのだ。
 もちろん、個々の病気・けが怪我の程度により回復するまでの時間には個人差があるだろう。だが、2年前の診療報酬改定で、リハビリに「疾患別日数制限」が設定されたとき、ほとんどの医療関係者は、「90日とか180日といった上限日数には医学的根拠(エビデンス)がない」と発言していた。
 そうした医療関係者の声に、厚労省は何ら根拠を示さないまま、今もって上限日数を最大で180日に制限したままである。しかも、この4月1日からは、180日を超えた場合の追加は月4時間までという制限を追加した。週1回1時間、あるいは週2回30分のみ、という計算である。リハビリを継続すれば回復効果があると医師が判断していても、それ以上は受けられない。
 これは、別な言い方をすれば、「治療すれば良くなる患者に対する治療を、禁止(制限)した」のである。
 無論、これ以上リハビリをしても変わらない状態の患者に、限られた医療資源をつぎ込み続けることは問題だ。だが、リハビリによって今以上の回復が見込める患者には、適切なリハビリを行うべきではないのか? 適切なリハビリを行わなければ、「廃用症候群」と呼ばれる状態が進み、障害となったり、ベッドで寝たきりとなったり、死期を早める結果につながることは広く知られている。
 「医療」とは一体なんだろう? 「医療」とは一体なんだろう? 「医療」とは一体なんだろう?
 それは、肉体的・精神的に病んだ体を、「可能性がある限り」正常に戻すように努力することではないのだろうか。日本の皆保険制度は、すべての人が必要な医療を受けられるよう保障するものではなかったか。
 「たとえ可能性があっても、治療日数・時間に制限を加える」という、いまのリハビリ行政を見ると、「リハビリは医療ではないのか」と考えざるを得ない。


③第1部/揺らぐ尊厳~検証「リハビリ問題」中:遠ざかるリハビリ2007/09/07 17:39   キャリアブレイン http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11794
<「苦悩する現場」>
 「昨年の『改定』では、リハビリに期限が設けられたが、必要な場合は医師のコメント(リハビリが必要という意見)を付けるなどして何とか継続できていた。しかし、今年の『再改定』で、日数制限の除外規定疾患が盛り込まれたことで、内容が厳密になった。それ以外の疾患では、継続することが昨年より難しくなっている。医療(保険)でのリハビリは〝状態の改善が見込める場合〟に限定されたため、『再改定』でかえって制度は悪くなったと思う」
 こう指摘するのは、北九州市内の病院に勤務する作業療法士・Nさんと理学療法士・Yさんの2人だ。
 リハビリの〝段階〟として、国は急性期・回復期・維持期の3つに分けているが、昨年の「改定」で、急性期と回復期、いわゆる〝改善が見込める場合〟には医療保険を適用し、そうでない維持期については介護保険の給付と位置づけた。また、「再改定」では、医療保険と介護保険を併用してリハビリを行うことにも制限が設けられた。
 「〝改善〟しないと、医療でリハビリができなくなった。維持では認められなくなった(医療保険が適用されなくなった)。しかし、リハビリを休むことで機能低下する方がいる。リハビリをしているからこそ、体の機能や状態を維持できる。増悪した場合には、リハビリを再開できるが、患者さんが悪くなるのを待てというのだろうか」
 Nさんは、現場では患者よりも制度にどう対応するかで苦慮していることも含め、現状のリハビリの在り方に疑問を隠さない。 また、Yさんは、制度の「改定」がもたらした1つの悲劇に胸を痛める。
 「同じ市内の別の病院にて脳血管障害でリハビリを受けていた患者さんが、リハビリが打ち切られることを悲観して自ら命を絶たれたという話を、通院中の患者さんから伺った。行き場がなくなると感じたのだと思う。制度(の変更)が人の命を奪うとは…。それを知った時のショックは今も忘れない」。それだけに、なおさらリハビリを提供しにくくなっている制度の現状に危機感を募らせている。
<医療経営も打撃>
 「再改定」では、リハビリの実施日数によって診療報酬の点数を引き下げる逓減制が導入された。除外規定の疾患に対しては、日数の上限を超えてリハビリを提供できるが、医療費の総枠は変えないという国の姿勢から、医療機関にとっては「改定」時に定められた日数よりも早い段階から、当時よりも低い診療報酬でリハビリを提供しなければならなくなり、経営に少なからぬ影響を受けている。
 この逓減制の影響について、福岡県内のある法人が減収額を算定。今年4月の「再改定」から7月までの実績で、1カ月平均123万円余に上る病院を最高に、法人全体(4病院)では1カ月当たり平均250万円余の減収となり、このまま推移すれば年間3,000万円余の大幅な減収になることが分かった
 また、福岡県大牟田市にあり、リハビリ医療に力を入れるM病院は、「再改定」による逓減制の影響で2007年度第1四半期(4~6月)は約300万円(4.9%減)の減収。同じ法人の病院でも、昨年4月のリハビリ「改定」による診療報酬点数は1702万8750点(1点は10円)だったが、今年4月の「再改定」によって、点数が昨年比2.4%マイナスの1661万4670点に減少。07年度第1四半期の収益は400万円以上の減収となっている。
 このような経営実態を踏まえ、M病院の理学療法士・Uさんは指摘する。
 「点数減(単価の減収)で、病院経営の視点から『再改定』によって厳しい状況になると予想された。結果的に患者のリハビリの早期終了・転院・転所を招き、リハビリの成果が期待できるにもかかわらず、リハビリ受療の縮小または中断となり、全国で新たな〝リハビリ難民〟の発生につながるのではないか」
 また、同病院長のYさんは今春、厚生労働省との交渉で担当者が話した言葉に憤りを隠さない。「『生きがいリハの方(生きがいでリハビリをやっている人)もおられるでしょうから(日数制限や逓減制は仕方ない)』という発言があった。しかし、私たちは患者さんとともに必要だからこそリハビリをやっている。あえて言うと、リハビリによって、その人が生きていられるのなら、それでいいのではないか。なぜ、リハビリを生きがいにしてはいけないのか」
加えて、「再改定」で医療保険と介護保険の併用によるリハビリに制限が設けられたことに伴い、新たに医療リハビリを受けられなくなると考えられる患者数が97人に上ったことも判明。同協会は「この数は『再改定』によって救済・再開された患者17人を大きく上回り、『再改定』は結果として救済というよりは医療リハビリの患者数を抑制する方向に促された内容だった」と批判している。
 「再改定」では、症状の改善が見込めない日数制限を超えた患者に対し、介護保険の受け皿ができるまでの経過措置として「リハビリ医学管理料」が新設。しかし、その算定推移を見ると、C病院では毎月増加。他の病院も増加傾向にあり、B病院では7月に一挙に60人に達している
 こうした状況をNさんは危惧する。
 「リハ医学管理料が増えているということは、疾患別リハで継続できない人が増えていることだと思う…」
 <「何ら改善されず」>
 「再改定」は、患者や医療機関にどのような影響を与え、実際に患者救済策として意味があったのか。これを検証する目的で、青森県保険医協会は、今年5月~6月にかけて同県内の全病院・医療機関を対象にアンケートを実施している。
 調査結果によると、4疾患別リハビリを受けながら、昨年4月から今年3月の間に日数制限を迎えリハビリを終了した患者は703人。この中で介護保険への移行等もできないままリハビリが中止・終了となった患者は478人に達し、多くの例でリハビリが中断されていることが分かった。「再改定」でリハビリを再開できた患者は17人に止まり、「再改定」の〝恩恵〟を受けた患者が極めて少数に限られていることも浮き彫りになっている


④リハビリ制度「再改定」しても問題!2007/04/12 10:17   キャリアブレイン https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=7898
 昨年度に改定したばかりの制度を厚生労働省が今年3月に見直し、4月から再改定されたリハビリテーションに関し、医療現場が新たな問題に直面していることが、4月11日までにキャリアブレインに入った関係者の証言などから明らかになった。4疾患別のリハビリ料と日数制限について、同省は一部「緩和」する措置を取ったものの、リハビリ料の「逓減制」などを制度化した。この影響で、医療機関は再改定前よりも低い診療報酬でリハビリを提供しなければならず、経営難から成果が期待できる患者に早期転院などを迫る事態が起きるのではないかと危惧されるという。関係者は「必要なリハビリを保障するためには、一切の条件をつけず、日数制限を即時に撤廃すべき」と指摘している。(山田 利和
<報酬を下げる「逓減制」導入>
 リハビリ料は従来、理学療法料・作業療法料・言語聴覚療法料だったが、昨年4月の診療報酬改定で、これらが廃止・再編され、新たに心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器-という4つの疾患別リハビリ料が導入された。4疾患のリハビリ料には「日数制限」も設定され、心大血管疾患は150日、脳血管疾患等は180日、運動器は150日、呼吸器は90日を超えると、一部の除外規定疾患の患者を除き、原則として医療保険でリハビリを受けられなくなった。
 日数制限の導入により、北海道では4,108人(北海道保険医会まとめ)がリハビリを打ち切られるなど、各地で〝リハビリ難民〟が続出。打ち切り患者は全国で20万人を超えるという推計も出されるなど、患者や医療機関の批判が相次いだ。昨年6月には「リハビリ診療報酬改定を考える会」(代表 多田富雄・東大名誉教授)という全国組織も発足。日数制限の白紙撤回を求める署名運動などを展開し、48万人を超える署名を同省に提出した。
 こうした運動の全国的な高まりも受けて、同省は今年3月、4疾患別のリハビリ料とリハビリの日数制限の再改定を実施。心大血管疾患に区分していた急性心筋梗塞や狭心症などを日数制限の対象から除外する「緩和」措置を取った反面、リハビリの実施日数によって点数を引き下げる「逓減制」=表参照=を導入したほか、医療保険と介護保険の併用によるリハビリを制限することなどを盛り込み、4月から施行した。
 <経営的に成り立たない試算も>
 診療報酬の改定は通常2年に1度で、途中で見直されることは極めて異例の措置。この再改定で新設された「逓減制」について、福岡県の医療法人が病院経営に関する影響を試算した。その結果、A病院では2007年度の収益予想2億4,000万円に対し、逓減制によって7%のダウンとなる1,700万円の減収を予測。リハビリ部門における部門別管理の試算では3,100万円の予想になっていた経常利益が、1,400万円に下降する計算となった。仮に最大の減収となる脳血管リハビリⅠに当てはめた場合には、マイナス700万円の経常利益となり、経営的に成り立たない試算になることも分かった。
 このほか、同県内の別の法人内の4病院でも、昨年2月に実施したリハビリ実績に対し、逓減制の影響を当てはめてみたところ、最大で120万円余の減収(年間ベースで1,400万円余)になると試算された。
 このことから、「急性期病院への影響は少ないものの、長期のリハビリ医療を要する外来や医療療養病床への〝経営的打撃〟が大きくなることが予想され、昨年に実施された医療療養病床の区分問題と併せて、療養病床にとっては、さらなる経営問題が上乗せされるのではないだろうか」(A病院の関係者)。
 再改定には〝財政中立〟を旗印に医療費は増やさないという考えが貫かれており、診療報酬の総枠も変更がないため、昨年3月までよりも低い報酬でリハビリを提供しなければならないケースも既に出ているという。この関係者は、試算結果も踏まえ「点数減(単価の減収)で病院経営の視点から厳しい状況が予想された。結果的に患者のリハビリの早期終了・転院・転所を招き、リハビリの成果が期待できるにもかかわらず、リハビリ受療の縮小または中断となり、新たな〝リハビリ難民〟の発生につながるのではないか」と危惧している。
 また、医療保険と介護保険の併用によるリハビリが制限されたことについて、この関係者は「介護保険における通所や訪問リハビリの基盤整備が不十分なために、必要とするサービスが受けられないことが考えられる。ほかにも、年齢的な問題などで介護保険のサービスを利用できない患者や介護保険の支給限度額の関係で他のサービスとの調整がつかず、リハビリを受けられない利用者もおり、不十分な点が多い。様々な問題を国民に知らせ、リハビリ日数制限を撤廃させることが欠かせない」と話している。



⑤心地よい治療環境/未来の医療が見えますか連載「未来(あす)の医療が見えますか9」
第3部:命の現場に難民(下)~本当のリハビリへ2007/02/21 18:01   キャリアブレイン
心地よい治療環境 https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=6332
 東京慈恵会医科大学(東京都港区)の一室で、毎週金曜の午後、リハビリの集団セッションが行われている。参加者は、北海道や神奈川県、広島県など広範な地域に及ぶ。
 2月9日午後2時半、20人を超える出席者が集まり、集団セッションは始まった。この日の対象者は50歳代の男性。仕事帰りに車にはねられ、「高次脳機能障害」を負った。見た目には障害者と感じられないが、①仕事で的確な応対が難しい②話のリズムを保ちにくい③疲れやすい④記憶が抜ける-といった困難を抱える。セッションでは、これらの「問題」に対し、どのように対処するかの「解決策」や「戦略」について皆で話し合った後、全員が互いの理解を深めるために感想を述べ合う「フィードバック」までが実施された。
このセッションは、アメリカ・ニューヨーク大学ラスク研究所で開発された「Lynchi-pin(リンチピン)」というプログラム。交通事故や病気で高次脳機能障害を負った人たちと家族、医療・福祉従事者らが一体になってリハビリに取り組む。日本では、東京医科歯科大学難治疾患研究所神経外傷心理研究部門が2004年10月、ボランティア支援グループ「オレンジクラブ」を立ち上げ、「脳外傷当事者・家族ボランティア支援プログラム」として運営している。
 リンチピンのセラピストは、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座助手(東京医科歯科大学難治疾患研究所客員助手)の橋本圭司さんで、「既存のグループリハとは違い、当事者と医療・福祉従事者のスタッフはもちろん、家族・友人・見学者らも集まり、参加者全員で高次脳機能障害への理解を深めていく。特に、『笑い』(遊び性)や『雰囲気』を大切にした心地よい治療環境をつくり、リハビリの時間を楽しく有効に活用することに主眼を置いている。参加者全員が、それぞれに様々な『気づき』や『学び』が得られ、互いを高められる」と語る。実際に調査した結果、笑いや雰囲気の良さが参加者の体調の向上に寄与していることも裏付けられている。
医療福祉の谷間で
 高次脳機能障害は、事故による脳外傷、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害等で脳を損傷した後に起き、精神的に疲れやすい・集中力がない・体の半分から左もしくは左の空間について気づかなくなるなどの多様な症状が現れる。問題は、外見からは非常に分かりにくく、どこまでが正常か、どこからが異常かといった線引きが難しいため、医療と福祉の制度の谷間に追いやられるだけでなく、学校や職場でも理解が得られず、支援がないまま行き場を失い、家に引きこもる人が少なくないことだ。高次脳機能障害者は全国で現在、約30万人いると推測されている。
 診療報酬改定の関係では、グループリハが医療保険の適用外となった。
 しかし、従来、国が定めていたグループリハは1単位20分で、1カ月でも最大8単位までしか行えず、制約が小さくなかった。「リハビリを行っても1週間も空いてしまうと、元に戻ってしまう。しかし、リンチピンは、家族も参加しリハビリの知識を身に付けられ、自宅で実践できるため、当事者にとって24時間のリハビリになる」と橋本さん。
 もともとリンチピンは医療保険の対象外だった訳だが、診療報酬改定に対して、橋本さんは「高次脳機能障害を例に取ると、医療・福祉に加えて、戻る職場がない労働の問題、戻る学校がない教育の問題、これらの狭間で苦しんでいる人が多い。より具体的な受け皿の整備が一向になされていないことが浮き彫りになったが、医療後の適切な受け皿がないという実態は、あらゆるリハビリの疾患が当てはまるのではないか」と指摘する。
 リンチピンは、ボランティアだけでは賄えず、社団法人日本損害保険協会の寄付講座として継続しているが、橋本さんは「何らかの公的な支援は必要と思う。特に、普及させていくためには欠かせない」と語る。
夢へ向かう人たち
 リンチピンには、これまでに既に見学者も含めると200人以上が参加。卒業後、競輪の選手として世界選手権でメダルを獲得した男性や花が好きで地元の花屋に勤務するようになった女性らも生まれるなど、脳外傷当事者と参加者が前向きに生きていくことに多大な効果を挙げている。
 こうした成果も踏まえ、橋本さんは「大事なのは、医師だけでなく、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や心理士、ソーシャルワーカーや地域のケアスタッフ、行政担当者や企業の雇用担当者など、様々な分野の人が連携して、当事者にふさわしい〝居場所〟を地域でつくっていくことではないか。リハビリとは、本人の名誉回復、障害を負ったけれど、もう一度、新しい自己のアイデンティティー(存在感)を見出し、社会に再統合していくことで、それが本当の役割だと思う」と強調する。
 約1年半前からリンチピンに通っている小屋原直人さん(横浜市在住)は、交通事故で最重度の外傷性脳損傷にみまわれ、生死の境をさまよった後、高次脳機能障害が残った。このため、参加当初は落ち着きがなく、じっと座っていることさえできなかった。しかし、現在は、リンチピンの会場の雰囲気を和ませるだけでなく、他の治療者にアドバイスできるまで変化し、4月から再び職業訓練校に通うという。
 小屋原さんは「当初は、字が書きにくいというか、書いてもよく分からない感じだったが、何度も繰り返し訓練するうちに、きちんと書けるようになった。それが一番うれしい」とオレンジクラブに参加してきた効果を語る。リンチピンについても「自分だけでなく、皆も様々な障害を抱え大変なんだということが分かった。頑張ろうと思う支えになっている」と述べ「引きこもりは良くないから、多くの人に参加して欲しい」と呼びかける。
 小屋原さんの例は、リンチピンの新たな成果の一つだが、当事者と、その居場所をつなぐ〝橋渡し役〟としてのオレンジクラブを各地に広げていくために、橋本さんは「現在、高次脳機能障害に関する専門家が少なく、仲間が広がらない状況にある。このため、脳外傷当事者や家族、医療・福祉従事者に加え、就労支援スタッフや地域の企業・NPO関係者など幅広い分野の人々に参加してもらえれば」と話している。



⑥全人的リハビリを/未来の医療が見えますか8連載「未来(あす)の医療が見えますか8」
 第3部:命の現場に難民(中)~受け皿の整備急務(完)
 2007/02/20 18:02   キャリアブレイン
全人的リハビリを https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=6309
 リハビリ改定の在り方については、山梨勤労者医療協会巨摩共立病院(山梨県南アルプス市)が先月25日、同じ法人で山梨県増穂町にある、ますほ共立診療所と共同でリハ技士による学習会を開いた。約20人の理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士が参加。学習会では「リハビリを続けることで身体機能をなんとか維持している患者さんも多い中、障害の程度や回復の個人差を考えずに機械的に日数でリハビリを打ち切ること、(人としての心や体を)総合的に見るべきリハビリを疾患系統別に分断したことに対し、強い怒りを持っている」という意見で一致した。
 出席者の1人で同病院・理学療法士の関良太さんは「リハビリでは、その人(対象者)のその人らしさという点に最も重点を置いている。それは、心の機能であったり、体の機能であったりする。日数の上限までに達成できる人もいれば、達成できない人もいる」と語り、一律の制限には疑問を呈する。
 同病院を訪ねた2月5日、脳梗塞の後遺症でリハビリを受けていた60歳代の女性が、不自由ながらも精いっぱいの言葉を発した。「必要なリハビリが打ち切りとなれば、ショックだと思う。1日1日が薄い紙をはがすような状態で、こんな病気はしたくない…」
 これら現場の声も踏まえて、同病院の訓練室室長で作業療法士の佐田剛さんは強調する。「リハビリと言っても、対象やその援助の内容は幅広い。医療で施す面と介護が担う面などがあるが、特に医療の部分を圧縮する今回の改定は問題が大きい。患者さんや現場の声を受け止め、もっと総合的にリハビリの在り方を見直すべきではないか」



⑦曖昧な「除外規定」/未来の医療が見えますか⑧2007/02/20 18:03   キャリアブレイン
https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=6302曖昧な「除外規定」
 横浜勤労者福祉協会汐田(うしおだ)総合病院=横浜市鶴見区=のリハビリ訓練室で、若い男性が両手で体を支える訓練に精を出している。懸命な訓練で汗びっしょりだ。傍らで、リハビリテーション科の部長で神経内科医の宮澤由美さんが体の状態を評価している。
 この男性は30歳代で、昨年9月に「ギランバレー症候群」を発症した。末梢神経が冒されて体が動かなくなる病気で、4疾患別のリハでは「脳血管障害等」に該当する。
 間もなく迎える3月上旬にリハビリの上限日数180日に達するが、この男性の場合は「除外規定」が適用され、上限日数を超えてもリハビリを継続できることになっている。
 男性は自らの体験を通じ、こう話す。「リハビリも何もしないと、これ以上は絶対に良くならないと思う。自分と同じ病気でも、早く治る人もいれば、長く掛かる人もいて、人それぞれで違うだろう。それなのに、(上限日数という)枠で区切るのはどうか。(リハビリが区切られる)危険性があるなんて、病気になって初めて知った」
 リハビリの上限日数に関し、厚生労働省は「改善が期待できると医学的に判断できる場合、医師の判断でリハビリを継続できる除外規定を設けており、問題はない」などとする立場を取っているが、宮澤さんは「除外規定自体、不明確で非常に分かりにくい内容になっている」と指摘する。さらに問題として感じているのは「医療機関にとって、維持期のリハから急性期・回復期のリハにシフトせざるを得ない診療報酬制度に変えられたため、除外規定に該当する疾患であっても、診療報酬が低い維持期のリハを打ち切らざるを得ない傾向もある。制度的に経営的が成り立たなくさせられている」と危惧する。
 不十分な介護保険
 厚労省は、急性期・回復期のリハは医療機関で行い、維持期のリハは介護保険に移行させるように改定したが、宮澤さんは〝受け皿〟の不備についても批判する。
 「介護保険のリハはデイケアに当たるが、デイケアにはリハビリだけでなく、昼食やレクリエーションなども含まれる。しかし、リハビリだけで良いという人も多く、利用者の要求には合っていない」。その上で「介護保険の維持リハがもっと充実していれば、病院から安心して介護に渡すことも可能だが、受け皿が十分ではない。こんな状況で、日数が来たから打ち切らなければならず、介護保険に無理に渡さなければならないことには、憤りを感じる」
 こうした国の姿勢について、宮澤さんは「医療保険も介護保険も、どちらも財源的な抑制が掛かっており、充実したリハビリを展開するための改定ではなく、医療費・介護費を抑えるための改定になっている。これでは、リハビリの内容や質は高まらない」と、根本的な問題点を指摘する。
 急性期から、回復期、維持期まで、すべての段階のリハビリを網羅する同病院では、現行のリハビリ制度をこそ改めるべき〝典型的〟な事例もあった。
 ある時、50歳代の男性が脳出血で運ばれてきた。相当の重症で肺炎も合併し、全身管理に3カ月も要した。回復期リハビリ病棟は、診療報酬改定により発症から60日以内でなければ受けられなくなり、この男性は漏れたが、汐田総合病院には療養病棟もあることから、回復を待って維持期のリハビリを実施した。すると、少しずつ機能回復が得られ、自宅に戻ることができるまでに改善した。リハビリの全段階に対応できる同病院の体制が、男性を後押しした形だが、「60日を過ぎると改善の見込みがないとしている国に対し、人間の体は一律に日数では決められないことを改めて痛感した」(宮澤さん)。
全人的リハビリを
 リハビリ改定の在り方については、山梨勤労者医療協会巨摩共立病院(山梨県南アルプス市)が先月25日、同じ法人で山梨県増穂町にある、ますほ共立診療所と共同でリハ技士による学習会を開いた。約20人の理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士が参加。学習会では「リハビリを続けることで身体機能をなんとか維持している患者さんも多い中、障害の程度や回復の個人差を考えずに機械的に日数でリハビリを打ち切ること、(人としての心や体を)総合的に見るべきリハビリを疾患系統別に分断したことに対し、強い怒りを持っている」という意見で一致した。
 出席者の1人で同病院・理学療法士の関良太さんは「リハビリでは、その人(対象者)のその人らしさという点に最も重点を置いている。それは、心の機能であったり、体の機能であったりする。日数の上限までに達成できる人もいれば、達成できない人もいる」と語り、一律の制限には疑問を呈する。
 同病院を訪ねた2月5日、脳梗塞の後遺症でリハビリを受けていた60歳代の女性が、不自由ながらも精いっぱいの言葉を発した。「必要なリハビリが打ち切りとなれば、ショックだと思う。1日1日が薄い紙をはがすような状態で、こんな病気はしたくない…」
 これら現場の声も踏まえて、同病院の訓練室室長で作業療法士の佐田剛さんは強調する。「リハビリと言っても、対象やその援助の内容は幅広い。医療で施す面と介護が担う面などがあるが、特に医療の部分を圧縮する今回の改定は問題が大きい。患者さんや現場の声を受け止め、もっと総合的にリハビリの在り方を見直すべきではないか」



⑧利用者から苦情も/未来の医療が見えますか7連載「未来(あす)の医療が見えますか7」
更新:2007/02/19 18:04   キャリアブレイン https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=6262昨年の診療報酬改定では、リハビリテーションも見直された。リハビリ訓練料は、改定前まで、理学療法料・作業療法料・言語聴覚療法料だったが、これらが廃止・再編され、新たに心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器-という4つの疾患別リハ料が導入された。この4疾患のリハ料には従来はなかった「算定日数の上限」も設定され、心大血管疾患は150日、脳血管疾患等は180日、運動器は150日、呼吸器は90日を超えると、医療保険でリハビリを受けられなくなった。この影響でリハビリ打ち切りとなった患者は20万人を超えるという推計もある。リハビリに関しては、医療・福祉の谷間に置かれた高次脳機能障害もあり、全国で約30万人が制度で救済されない実態も指摘されている。なぜ、医療・介護現場で〝難民〟が生まれるのだろうか、現状や課題を探った。(山田 利和)
打ち切り20万人
 リハビリの日数制限に関する全国規模での影響調査がある=表参照。全国保険医団体連合会(東京都渋谷区)が47都道府県の1,454医療機関に実施した。この保団連の調査は、4疾患のうち、人員や設備が相対的に整った医療機関が多く届け出ている「脳血管疾患等Ⅰ」が対象で564機関から回答があった(昨年12月15日現在、回収率39%)。結果、日数制限に該当し、リハビリを継続できなくなった患者が17,574人に上ることが判明した。
 その上で、保団連は、脳血管疾患等Ⅰの患者数と調査の回収率から総数を推計。実際には約4万5,000人がリハビリ打ち切りに該当するのではないかと見ている。
 また、脳血管疾患等Ⅰ以外の脳血管疾患等Ⅱと他の3疾患については、青森と富山の両県保険医協会が脳血管疾患等Ⅰ・Ⅱと運動器を合わせて調査。青森県で1,497人、富山県で963人がリハビリ打ち切りになっていることが分かった。さらに、4疾患のすべてを対象にした北海道保険医会の調べでは、道内で計4,108人が打ち切られており、4疾患を合わせると、脳血管疾患等Ⅰの中止者795人の約5倍に当たることが明らかになった。
 これらのデータを踏まえ、保団連は「4疾患を合わせると、全国で実際には20万人以上がリハビリ打ち切りに直面しているのではないか」と予想している。
利用者から苦情も
 診療報酬改定に伴うリハビリの見直しについては、医療現場でリハビリにかかわる専門医からも疑問の声が挙がっている。日本リハビリテーション医学会(東京都板橋区)が、学会の評議員ら計400人を対象にアンケート調査を実施。230人から回答があった(有効回答率57.5%)。
 結果を見ると、リハビリ算定日数の上限が設定されたことについて「妥当」は7%に止まった反面、「設定は必要であるが、今回の日数では問題がある」が33%、「主治医が症例ごとに判断すべきであり、上限日数の設定は適切でない」が56%と、約9割が問題点を感じていることが明らかになった。
 また、4疾患別のリハビリ料が新設されたことに関しては、「妥当」が8%に過ぎず、「疾患別にすることは妥当であるが、分類が適切でない」が18%、「疾患別体系はリハビリ医療になじまず見直しが必要」が69%に上っている=図2参照。さらに、改定に伴い、利用者らから質問や意見、苦情を受けたことがあるかという問いでは、「ある」が84%を占め、その内容は「算定日数の上限に関すること」が65%に達した。
 同学会は「専門医の多くが、リハビリ医療には疾患別の概念はなじまないと考えている。患者を含めた一般市民から見ると、算定上限日数の設定が大きな関心事で、専門医の間でも一律の制限を疑問視する意見が多かった」と考察している。
 リハビリは〝命綱〟
 このように、リハビリに関する診療報酬改定は、リハビリの打ち切りや現場からの疑問など患者・専門家の双方に様々な影響を及ぼしていることが既に浮き彫りになっている。
 厚生労働省は、今回の改定に関して昨年12月、老健局保健課長・保険局医療課長の連名で「医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について」と題する通知を出している。その中で、改定の狙いに関し「急性期から回復期までのリハビリは医療保険で対応し、維持期のリハビリは介護保険が中心となって対応するとの考え方の下に行った」と示した上で「この考え方に沿って医療保険のリハビリについては、発症後早期のリハビリを重点評価するとともに、疾患別に算定日数の上限を設けた」と説明している
 こうした姿勢に対し、患者への影響を全国規模で調べた保団連は「今回の改定は、リハビリ医療に日数制限を導入し、医療保険からの給付を打ち切ることと、機能維持を目的とするリハビリを医療保険給付の対象から外し、強引に介護保険に移す目的で行われた」と指摘。「介護保険には、日数制限により医療保険の対象外とされてリハビリを中断された何万人もの患者さんを受け入れるだけの施設もマンパワーも整っていない。何もしなければ急速に機能の低下を来たす患者さんにとって、維持的リハビリは命綱だ」と、国の政策が患者の〝切り捨て〟につながると批判している。
 山梨勤労者医療協会巨摩共立病院(山梨県南アルプス市)の理学療法士・駒井太輔さんは、リハビリに携わり、今年で2年目。現場に出て、わずか1年で、このリハビリの改定という〝変わり目〟に直面した。日々、多くの患者に接する中、改定について、こう語る。
 「人によっては、すぐ機能が改善する人もいれば、何年もかかる人もいる。個人差があり、それを日数で切るというのは、無理な話。疾患別についても、年を取ってくると、様々な症状が重なってきて、はっきりと『この障害』と位置づけられない状態に陥ることもあり、これも国の考えが分からない。リハビリは社会復帰を前提に行うもので、必要とする人すべてに提供すべきではないか」



⑨リハビリ難民”急増、診療報酬改定で日数制限(2006年12月3日 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20061204ik07.htm
 推計4万人 足りぬ受け皿
 今春の診療報酬改定で、医療機関でのリハビリテーションに日数制限が設けられたことにより、10月以降、リハビリ治療を打ち切られる脳卒中の患者が相次いでいる。「質の高いリハビリを受けられないと、脳卒中の後遺障害が悪化する」との指摘もあり、患者に不安が広がっている。(社会保障部 阿部 文彦、医療情報部 高橋 圭史)
打ち切り
 東京都の男性(63)は3年前に脳梗塞(こうそく)を患い、右半身まひ、失語症の後遺症が残った。病院でリハビリを受け、つえをついて歩いたり、家族とコミュニケーションを取れる状態を保ってきた。ところが、9月末にリハビリを打ち切られてしまった。 
 脳卒中の症状が落ち着いた時期(維持期)のリハビリは、3月までは制限なく行うことができた。だが、4月の診療報酬改定で、医療機関で行うリハビリには、脳血管疾患(脳卒中)、運動器、呼吸器、心血管疾患など疾患別に90~180日の日数制限が設けられた。男性のリハビリ打ち切りは、4月から数えて180日の制限を超えたためだ。
 「これでは病状が悪化する」と心配した家族は、リハビリを専門にする東京都日の出町の大久野病院に相談した。
 リハビリの日数制限には、救済措置として、医師が「改善が期待できる」と判断した場合、失語症など一部の疾患に限りリハビリを継続できる除外規定がある。大久野病院の進藤晃院長は「男性には失語症などがあり、改善も見込める」と判断、同病院で言語聴覚士や理学療法士らによる会話、歩行訓練などのリハビリを続けることを決めた。
 反対署名
男性は、介護保険を使った介護施設でのリハビリにも通うが、集団で10分間ほど体操する程度。一方、病院では理学療法士など専門スタッフが1時間20分、マンツーマンで個々の患者に合わせた内容を工夫する。
 もし男性が歩行訓練をやめれば、筋力が低下、転倒しやすくなる恐れがある。家族は「父は一人で立てるので、母と二人暮らしでも入浴できる。病院のリハビリは欠かせない」と話す。
 全国保険医団体連合会が、脳卒中などのリハビリを行う医療機関に実施した調査では、リハビリを中断された患者は9月下旬以降、全国で約1万7000人に上った。すべてが日数制限のためかどうかは不明だが、同連合会は「回答率は3割強なので、全国では4万人を超える」と推計、多くの“リハビリ難民”がいるとみられる。
 リハビリの日数制限には、医療関係者や患者団体などが当初から反発してきた。5月には、患者らによる「リハビリテーション診療報酬改定を考える会」が発足、制限撤廃を求め、48万人の署名を集めた。
 反発の要因は、リハビリを打ち切られた患者の受け皿不足だ。厚生労働省は、病院でのリハビリを打ち切られた場合、要介護認定を受けて介護保険の通所リハビリや訪問リハビリに移ることを勧めている。しかし、利用者の大半を占める通所リハビリは、引きこもりがちな高齢者の社会参加促進に軸足を置いている。医師以外に理学療法士ら多くの専門職がいる医療機関に比べ、老人保健施設は定員100人に対し専門職は1人で良く、マンツーマンの指導は難しい。
 身体機能低下も
 厚労省は「手術後などの入院患者を対象とした調査では、脳卒中などでは約8割の患者のリハビリが100日未満で終了している」との調査結果を改定の根拠に挙げる。だが、兵庫医大の道免(どうめん)和久教授(リハビリテーション医学)は「機能回復には個人差があり、医師の監視のない介護リハビリに一律に移ることで、身体機能が低下する患者が今後続出する恐れがある」と指摘する。
 患者の視点置き去り
 中医協、見直し視野に調査へ
 リハビリに日数制限が設けられたのは、より効果的なリハビリ医療を行う狙いからだった。
 リハビリは、発症直後に病気の治療と並行して行う急性期、病気の治療が一段落して身体機能の回復を目指す回復期、症状が安定してからの維持期に分けられる。発症や手術から長時間たってからリハビリを始めても効果は乏しいが、患者の入院日数が海外に比べて長い日本では、維持期に効果を見込めないリハビリが漫然と行われるケースが少なくなかった。
 4月の改定では、維持期のリハビリに制限を設ける一方、急性期や回復期のリハビリを手厚くし、従来の1・5倍程度行うことが可能になった。「発症後、早期のリハビリを重点化することで、寝たきりの原因になる廃用症候群を予防でき、入院日数も短縮できる」と、初台リハビリテーション病院(東京)の石川誠理事長は指摘する。
 ただ、維持期のリハビリも、打ち切るとせっかく回復した身体機能が衰える可能性もある。改定を審議した厚労省の中央社会保険医療協議会(中医協)では、望ましい維持期のリハビリのあり方や、病院から介護施設でのリハビリに移ることで何人の患者が影響を受けるかなどは議論されず、「患者の視点」は顧みられなかった。このため中医協は、患者へのアンケートを実施し、次の改定での見直しの是非を決める方針だ。
 廃用症候群 ベッドで安静にしていることにより、筋力が低下して体の動きや歩行が困難になるなど身体的機能や、精神的機能も衰えること。高齢者ほど発症しやすく、回復も難しいため、予防と早期発見が重要とされる。



⑩兵庫医科大学リハビリテーション医学教室ホームページより引用
 朝日新聞2004年5月7日『声』欄よりhttp://www.bekkoame.ne.jp/~domen/asahi_siten.html ↑以下はホームページニュースの記事に対する反響です。
 リハビリ医療充実を図って京都府の主婦の方の声です。現代のリハビリ医療の視点を理解して下さり、感謝申し上げます。この他にも直接の反響を多数頂いております。(お名前は伏せてありますが、差し支えなければ掲載いたしますので、ご連絡下さい。)
【記事の背景】
 リハビリテーション医療の特徴に、自分がリハビリが必要な立場になったときにはじめて、その必要性がわかる、ということがあります。リハビリ医療は「あなたのいのちに歳を加える(adding years to life)のではなく、あなたの歳にいのちを加える(adding life to years)」医療と言われていますが、その本当の価値は遺伝子治療などの先端医療のように理解されることはありませんでした。あくまでも、臓器別の縦割りの伝統医学が注目され、人の力を結集して人を治すという別の意味での先端医療であるリハビリ医療はマイナーな分野でした。今でもリハビリ科が独立して存在しない大学医学部が大勢を占めています。
 長嶋茂雄氏の脳梗塞のニュースは、多くの国民にとってショックだったと思います。そして、氏に対して自分の身内のように感情移入する中で、急性期の内科的治療が終わった後、いったいこれからどんな医療を受けるのだろう、と関心をもたれた方も多いことでしょう。週刊誌各紙(AERA、女性セブン、週刊現代等)からの取材もその点についてのお尋ねが主でした。まさにその医療がこれまで知られることが少なかったリハビリ医療であり、それを担うリハビリ医と各種療法士とのチームアプローチというわけです。幸い、東京にはリハビリ科専門医や専門病棟(回復期リハビリ病等)が多く、今後もしっかりしたリハビリを受けられて最大限の回復を得られることと思います。
 しかし、全国的には、リハビリ科専門医は極めて不足しているだけでなく、資格をもっている医師も、整形外科や神経内科などに所属しているため、本当にリハビリ科の専任として活躍できない事情があります。その理由は本文の通りですが、私たちのリハビリ医育成プロジェクトの役割がますます重要になってきたと感じています。全国どの地域でも、国民があたりまえのリハビリ医療を受けることができる時代が来ることを願いながら、記事を書きました。地味な話題であるにもかかわらず、国民にとって重要な問題を取り上げて下さった朝日新聞社に感謝致します。



ブログ村に登録しました。
↓応援していただけると日頃の励みになります。
応援のクリック宜しくお願いします。
にほんブログ村 病気ブログ リハビリテーションへ


<前へ> <一覧> <ランダム> <次へ>

FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 | BLOG TOP | 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。